労働者は法律で保護されている
現代日本では労働保護法というものがあり、労働条件に最低基準が設けられ保護されています。
一定基準の賃金、適度な労働時間や休暇、簡易な解雇の制限など労働者の生活が法律で守られています。
一方で、その法律の穴を縫うように
デメリットだけを押し付ける形で労働保護法の適用外となる地位を強要したり
実際は雇用なのに請負いを装って労働者の枠組みから外したり
相手の無知につけこんで不利な契約をさせて契約で縛って労働を強要したりして
労働者を低コストな使い捨て感覚で使おうとする悪質な企業もあります。
国も問題は把握していて違法性は認められるものの、規制する法整備は十分でなく、
法的制裁デメリットが企業のメリットをはるかに下回っており、なくなる気配はありません。
このような現代日本における実質的な奴隷制度の被害者にならないように手口を知っておきましょう。
日本3大奴隷制度『管理監督者』『個人請負』『FC契約』
①管理監督者
管理監督者とは、労働基準法第41条2号の「監督若しくは管理の地位にある者」のことをいいます。
具体的には、企業の中で相応の地位と権限が与えられ、経営者と一体的な立場と評価することができる従業員が管理監督者に該当します。
管理監督者になると労働基準法により職務内容や待遇などといった労働に関する条件が一般の労働者とは異なる設定にされており、
労働基準法第41条2号では、管理監督者である労働者に対しては
労働時間、休日などに関する規制が適用されず、残業代などを支払わなくても良いと定められています。
一方で適用条件も厳しく、以下の条件がひとつでも合致しないと適用されません。
・管理監督者は経営者と一体的な立場で仕事をしている
・企業運営に係る意思決定に関与することができるかどうか
※上記2つは全て指示を受けて動くだけ、企業全体の経営への影響が小さい立場だと該当しません
・人事権その他内部運営に係る権限が相当の範囲で認められているかどうか
※人事の採用・移動に権限がない、影響力が小さい場合には該当しません
・自身の業務時間、業務量に広範な裁量が認められるかどうか
※時間管理をされている、シフトに入っている場合には該当しません
・地位に相応しい待遇が与えられているかどうか
※一般的な労働者の相場と大差ない場合は該当しません。おそらく相場の倍以上が最低ラインと思われます
一方で社会的には『名ばかり管理職』の問題があり、客観的に管理監督者と認められないのに労働者が「管理職」であるという理由のみで、
これに該当すると整理して時間外労働・休日労働の割増賃金を支払っていないケースが多数あります。
有名な企業だと日本マクドナルド事件があります。
もちろん違法ですので労働基準監督署に駆け込めば指導してくれますが、ほとんどの会社は違法なのを知っていながら強要してきます。
おそらくそのような会社は指導を受けると共に不利な扱いを押し付けてきます。
もしあなたがその会社に執着しないのであれば、違法な扱いを理由に労働契約自体を即座に解消することができます。
今まで不当に労働させられていた分の割増賃金や、違法な長時間労働で受けた損害の賠償を会社に請求できます。
(交渉力があれば個人でもできないことはないですが、弁護士などの専門家に相談することをオススメします)
雇用保険の失業手当給付の条件も最終的に会社都合で通ります。
(証拠は必ず自前で用意すること。また退職届には自己都合と表記せず、労働契約の相違があった・違法な部分があったなどと表記をして内容証明郵便で提出すること)
管理監督者扱いはメリットが排除されると、搾取されるだけの奴隷制度になります。
当事者になってしまうと人生の何もかも奪われてしまいます。
②個人請負
個人請負労働者とは、企業と雇用関係を持たない個人請負の契約労働者のことです。
企業と雇用関係を持たず個人事業主として業務を請け負うという働き方は、多様化する就業形態のひとつとして働き手には選択肢が増えたとも言えます。
しかし、個人請負労働者として契約しながら、実態は雇用者と変わらない働き方をしている場合もあり、「偽装請負」とも言われる悪質な事件も起こっています。
有名な企業の事件ですと「すき屋」を経営するゼンショーが裁判で全敗したものがあり、残業代が不当に支払われていませんでした。
報酬自体も労働基準法の最低基準にも満たない上に一切の業務保障がないケースも多いです。
ウーバーイーツユニオンが提起した社会問題などが話題になっていて社会問題になっています。
企業が業務請負をする目的のほとんどは、労働力のコスト抑制が主になります。
そのため普通に労働契約を結ぶよりも不利な条件がほとんどでしょう。
悪質な企業だと立場の優位性や、契約を悪用して低い対価で多くの労働を強要してきます。
条件次第であなたの全てが搾取される奴隷制度になります。
あなたが個人事業主でもないのに業務請負の話がでてきた場合、最大限の警戒をして安易な契約を避けてください。
あなたが個人事業主であっても報酬が見合わない契約は結ばないようにしましょう。
③FC契約(フランチャイズ契約)
フランチャイズとは、FC本部(フランチャイザー)が加盟店(フランチャイジー)に対して、
商標・商号の使用権、商品やサービスの販売権、それに伴う経営ノウハウの指導・教育などを提供し、
その対価として、加盟店から保証金やロイヤリティなどの対価を得るシステムのことを言います。
契約内容の詳細は、フランチャイズ本部によって異なりますが、
フランチャイズ契約は基本的にフランチャイズ本部が用意したプランを加盟店が受け入れる契約です。
本部と加盟店はそれぞれが独立した事業者であり、契約上は対等な関係です。
事業者と消費者の関係ではないため、クーリングオフ(一定期間であれば無条件で契約解除ができる)などの制度は適用されません。
元々企業にメリットが多く加盟店が有利な条件は少ないFC契約ですが、
現状は、FC本部が加盟店に対して契約で結んだ不利な条件を違約金をチラつかせて、労働や経営負担を強要しているケースが多いです。
有名なのはコンビニのFC経営の問題があり、加盟店のメリットを潰すようなFC本部が一方的に有利な契約内容を言葉巧みに結ばせて、
それでも売上が順調な店はドミナント戦略で経営破たんに追い込んでいき、最初から加盟店経営者を借金漬けにすることを前提に運営されていました。
※大きな社会問題として話題になっており、現在改善している点はあるかもしれません。
最近ではスーパーホテルが提訴されています。こちらは実質的な労働者をFC契約に近い業務委託契約の悪用で、低い対価で多くの労働を強要していたものです。
中小小売商業振興法という法律に基づき、小売・飲食のFCチェーンの本部はFC契約を結ぶ前に、
加盟希望者に対して本部の事業概要や契約の重要事項を記載した『法定開示書面』を提示することが義務付けられています。
万が一その内容が法定開示書面と異なる場合でも、契約書の記載内容が法的に優先されてしまいます。
FC契約を検討する場合には法定開示書面と契約書の内容に違いがないか、必ず見比べるようにしてください。
また、加盟店が一方的に不利な条件を押し付けられていないかも十分に確認してください。
契約そのものがわかりにくい場合には弁護士などの専門家に見てもらうのがいいでしょう。一生を左右する契約ですのでこのくらいの備えは必要でしょう。
悪質なFC契約はあなたの全てのみならず家族までが搾取される最悪な奴隷制度になります。
どうしてもFC契約でなければ叶えられない夢があったとしても、避けるのが無難と考えます。
契約を検討する段階になった場合には、専門家への依頼も考えて念入りな確認をするようにしましょう。
最後に
このように実際に被害を受けてしまうと、なかなか抜け出すことが困難な上にあなたの人生に深刻なダメージが残されてしまいます。
極力これらとは関わらない人生設計をする方があなたのリスクは抑えられるでしょう。
どうしてもあなたの人生設計で避けて通れない場合には、契約成立前に必ず専門家に見てもらい、リスクを把握した上で検討しましょう。
ただし管理監督者に関しては、本人の承諾なしで辞令にて決定となるケースも多いので、きちんと会社から労働条件を書面で提示してもらいましょう。その後に管理監督者に当てはまる条件かどうか照合しましょう。それに対して煙たがったり圧力をかけてくる会社もありますが、それは後ろめたいことを隠している証拠に他なりません。あなたが使い捨てられる前に離れましょう。
会社は最終的にはあなたの契約外のことは何も保障してくれません。
※記事内では企業の実名を出した例を挙げましたが、企業様の評価を下げる目的での記事掲載ではありません。事件や社会問題になるような失敗から現在進行系で改善されているかと思いますし、他の企業の見本になりえるような素晴らしい労働環境になっていることを願っております。
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